ネガティブ過ぎて笑えてくる!カフカの名言

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はじめに

「名言」と検索して出てくるのは、偉人の前向きな言葉や力強い言葉など、ポジティブなものが多いと思います。しかし、ネガティブな名言をこれでもかと残しまくった偉人がいます。それが、作家のフランツ・カフカです。

長い人生、上手くいっている時や楽しいことばかりではありません。困難に直面した時、気持ちが沈んでいる時、心に響く言葉は決してポジティブな言葉とは限りません。こんな時、意外と心を支えてくれるのはネガティブな言葉だったりすることもあります。この記事では、そんな辛い時や苦しい時にこそ響くカフカのネガティブ過ぎる名言を紹介します。

フランツ・カフカとは

フランツ・カフカ(Franz Kafka 1883年7月3日 – 1924年6月3日)は、現在のチェコ出身の小説家。プラハのユダヤ人の家庭に生まれ、大学で法律を学んだ後、半官半民の労働者傷害保険協会に勤めながら作品を執筆します。執筆活動はなかなか思うように進まなかったり、自分の納得のいく作品ができなかったりと苦労したようで、多数の著作が未完で終わっています。

作品の特徴として、理不尽さ、疎外感、無力感といったテーマが多く、主な代表作として、『変身』、『審判』、『城』などが挙げられます。神経質で内向的なカフカに対し、性格が対照的な父親とは折り合いが悪かったようで、父との関係性が少なからず、こうした作品作りへの影響を与えたようです。生前はほとんど評価されませんでしたが、カフカの死後、親友のマックス・ブロートによって遺稿が発表されたことで世界的な評価を得ることになりました。

辛い時にはネガティブな名言を

気分が沈んでいる時、明るい曲を聴く人もいれば、ゆったりとした感じの静かな曲を聴く人もいると思います。音楽に関して、頭木弘樹氏の『絶望名人カフカの人生論』という著作で以下のように紹介されています。

ギリシャの哲学者で数学者のピュタゴラスは、心が辛い時には「悲しみを打ち消すような明るい曲を聴くほうがいい」という「ピュタゴラスの逆療法」を唱えました。現代の音楽療法でも「異質への転導」と呼ばれているそうです。

一方、ギリシャの哲学者アリストテレスは、「その時の気分と同じ音楽を聴くことが心を癒す」と主張しました。悲しい時には、悲しい音楽を聴く方がいいという考え方で、「アリストテレスの同質効果」と呼ばれています。現代の音楽療法でも「同質の原理」と呼ばれているそうです。

では、この2つの考え方のどちらが正しいのかというと、実は両方とも正しいことが現在では分かっています。心が辛い時には、⑴最初に悲しい音楽にひたる=アリストテレスの「同質の原理」が適していて、⑵その後で、楽しい音楽を聴く=ピュタゴラスの「異質への転導」というふうにするのがベストだそうです。

これは名言にも同じことが言えると思います。しんどい時や辛い時、必ずしも成功者のポジティブな名言が心に響くとは限りません。前向きになれる時もあれば、なかなかすんなりと受け入れられないこともあると思います。音楽と同じように、今の自分に寄り添ってくれる名言を知ることで、心の支えになったり、楽に感じることがあると思います。こんな時に一役買うのがカフカです。彼はネガティブ過ぎるが故に、悩みや気苦労が多かったようです。ネガティブに関して、カフカの右に出る人はそういないでしょう。

ネガティブ過ぎるカフカの名言

将来に向かって歩くことは、僕にはできません。将来に向かってつまづくこと、これはできます。一番上手くできるのは、倒れたままでいることです。

全てお終いの様に見える時でも、まだまだ新しい力が湧いてくる。それこそお前が生きている証なのだ。もし、そういう力が湧いてこないなら、その時は全てお終いだ。もうこれまで。

バルザックの散歩用ステッキの握りには、「私はあらゆる困難を打ち砕く」と刻まれていたという。僕の杖には、「あらゆる困難が僕を打ち砕く」とある。共通しているのは、「あらゆる」というところだけだ。

僕は人生に必要な能力を、なに一つ備えておらず、ただ人間的な弱みしか持っていない。

幸福になるための、完璧な方法が一つだけある。それは、自己の中にある確固たるものを信じ、しかもそれを磨くための努力をしないことである。

僕はいつだって、決して怠け者ではなかったと思うのですが、何かしようにもこれまではやることがなかったのです。そして、生きがいを感じたことでは、非難され、けなされ、叩きのめされました。どこかに逃げ出そうにも、それは僕にとって、全力を尽くしても到底達成できないことでした。

いつだったか足を骨折したことがある。生涯で最も美しい体験であった。

この前、僕が道端の草の繁みに寝転ぼうとしていると、仕事で時々会う身分の高い紳士が、さらに高貴な方のお祝いに出かけるために、着飾って二頭立ての馬車に乗って通りかかりました。僕は真っ直ぐに伸ばした身体を草の中に沈めながら、社会的地位から追い落とされていることの喜びを感じました。

僕の仕事が長くかかること、またその特別の性質からして、文学では食べてゆけないでしょう。

もう五年間、オフィス生活に耐えてきました。僕の事務所に通じる細い廊下で、僕は毎朝、絶望に襲われました。僕より強い、徹底した人間なら、喜んで自殺していたでしょう。

ちょっと散歩をしただけで、ほとんど三日間というもの、疲れのために何もできませんでした。

またいろんな人たちとムダな晩を過ごしました。僕は彼らの話を聞くために努力しました。しかし、いくら努力しても、僕はそこにいませんでした。他の所にもいませんでした。ひょっとすると僕はこの二時間、生きていなかったのでしょうか。そうに違いありません。

僕は父親になるという冒険に、決して旅立ってはならないでしょう。

一切の責任を負わされると、お前はすかさずその機会を利用して、責任の重さのせいでつぶれたということにしてやろうと思うかもしれない。しかし、いざそうしてみると気付くだろう。お前には何一つ負わされておらず、お前自身がその責任そのものにほかならないことに。

神経質の雨がいつも僕の上に降り注いでいます。今僕がしようと思っていることを、少し後には、僕はもうしようと思わなくなっているのです。

僕の人生は、自殺したいという願望を払いのけることだけに、費やされてしまった。

僕はいかなる事にも確信が持てず、自分の肉体という最も身近なものにさえ確信が持てませんでした。気苦労が多すぎて、背中が曲がりました。運動どころか、身動きをするのも億劫で、いつも虚弱でした。

女性は、いやもっと端的に言えば結婚は、お前が対決しなければならない実人生の代表である。

あなたはお聞きになるかもしれません。なぜ僕がこの勤めを辞めないのかと。なぜ文学の仕事で身を立てようとしないのかと。それに対して、僕は次のような情けない返事しかできないのです。僕にはそういう能力がありません。おそらく、僕はこの勤めでダメになっていくでしょう。それも急速にダメになっていくでしょう。

もし結婚して、僕のような、無口で、鈍くて、薄情で、罪深い息子が生まれたら、僕自身はとても我慢できず、他に解決策がなければ、息子を避けてどこかへ逃げ出してしまうでしょう。僕が結婚できないのは、こういうことも影響しているでしょう。

友人との関わりについて、今自分なりに整理してみると、それは虚しい助走であった。人が長い人生の間に繰り返し試みる、たいていは希望のない助走の一つ。

ずいぶん遠くまで歩きました。五時間ほど、一人で。それでも孤独さ足りない。まったく人通りのない谷間なのですが、それでも寂しさが足りない。

実際僕は、人と交際するということから、見放されていると思っています。見知らぬ家で、見知らぬ人たち、あるいは親しみを感じられない人たちの間にいると、部屋全体が僕の胸の上にのしかかってきて、僕は身動きができません。

誰でも、ありのままの相手を愛することはできる。しかし、ありのままの相手と一緒に生活することはできない。

生きることは、たえずわき道にそれていくことだ。本当はどこに向かうはずだったのか、振り返ってみることさえ許されない。

頭木弘樹『絶望名人カフカの人生論』新潮文庫から引用しています

<書籍紹介>頭木弘樹『絶望名人カフカの人生論』

カフカの日記や手紙、メモ書きなどに書かれた数多くのネガティブな言葉が、著者のユニークな解説と共に紹介されています。上記の名言は、書籍で紹介されているものの一部です。また「将来に絶望した!」、「仕事や自分の心の弱さに絶望した!」など、様々な名言がジャンルごとに分かれているのも地味に笑えます。カフカの様々なエピソードや、何を考えていたか知ることができます。

著者の頭木弘樹氏は二十歳で難病を患い、入院と自宅に引きこもる生活を送る中で、一番の支えになったのがカフカの日記や手紙だったようで、その面白さに励まされ、出版に至ったそうです。

読んでみた感想

カフカの弱音や不満が、ネガティブ過ぎて思わずクスッと笑ってしまいます。たくさんの言葉が綴られていますが、恋人や父に宛てた手紙まで、一貫してネガティブでぶれません。しかし、共感する名言も多々あり、好きな名言が見つかるはずです。大学生の時に就職活動が思うようにいかず、書店に行って就活に関する本を買うはずが、たまたま読んだこの本に思わず笑ってしまいました。結局、就活の本は買わず、この本だけ買って帰ったことを思い出します。

生きづらさを感じている人や今が苦しい人、落ち込んでいる時や気持ちが沈んでいる時などにおすすめの一冊です。意外と元気がもらえる名言集でした。どんなネガティブな人もカフカには遠く及ばないのでは?是非一度読んでみてください。人生のバイブルになる一冊ですよ!

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